TRUMPシリーズ 10th ANNIVERSARY ミュージカル『マリーゴールド』
※この記事は表題作品及びTRUMPシリーズの過分なネタバレを含みます。
Twitterに書こうと思ったのですが長くなりそうだったので勢いでブログ開設しました。
というわけで観てきました、ミュージカル「マリーゴールド」
まぁしかし田村さんがめっちゃくちゃ歌うまくなってた気がしてびびった。
正直舞台やらミュージカルに関してはド素人なので本当に好きな人から見てどうなのかは解らないけど、壮さん愛加さんという宝塚トップやってた人たちと遜色ないぐらいこちらの感情を揺さぶる歌でしたね…。
そして東さんがかっこよかったんだなぁ~東さんもめっちゃ歌うまいんですね…。
グランギニョルで春林さんが好きすぎるのもあったけど普通に東さんのファンですねもう。
退廃的でいいキービジュっすよね…。
「なぜ人は“悲劇”に魅了されるのか。」
その言葉通り、基本的にハッピーエンド好きな自分、もしくはせいぜいもやっとする終わり方する作品が好きな自分がここまでこのTRUMPシリーズが好きになってしまったのか。
それはやっぱり演出・脚本の末満さんの魅力でもあるのだろうなと思う。
「永遠の命」という命題。人間、吸血種、そしてその混血であるダンピール。
種族の対立・共存、混血種への不理解・差別。
それを徹底した耽美で退廃的な世界観の構築、そして伏線を10年以上にもかけて張り続け、回収して、また張っていくシナリオ。(もちろんその間に変更されたり付け足したりもあるのだろうけど)そしてシリーズ内でリフレインする言葉の数々に魅了された。
まぁぐだぐだ書いたけど要は自分のツボにガッシリとハマってしまったわけですね。
なんて深い沼なんだこいつは。
さて感想。作中用語はこんな記事好き好んで読む方は解ってると思いますので割愛します。
時系列的には
スペクター
↓
↓
TRUMP
↓
(2800年後)
↓
↓
リリウム
なんですかね。さて簡潔に感想を述べるとなると、最大限の感謝と親愛を込めて
「末満許さねぇ。」という一言につきますね…。
もうシリーズ通してのファン、とりわけリリウムが特別好きな人を念入りに死に追いやるような作品でしたね。
冒頭、とあるクランから逃げ出してきたという繭期の少年の尋問からはじまる。
彼の名はヤン・フラ………え?フラ?とまーーーシリーズファンとして馴染みのある名前からはじまるわけですよ。吸血種の中のものすごい貴族のフラ家。
話はそれるけど今こう思うとちょっと気になる。
グランギニョルの時代でのフラ家当主ゲルハルト。
彼は不能だった為、マルコに妻を身篭らせた。そしてその結果生まれたアンジェリコもTRUMPで死んでしまった。
つまりここでフラ家は断絶したと思われるのだけど…名前が同じってだけなのかなぁ。でも末満さんがそんなことするのだろうか。それとも分家があった、とかなのかな。気になるところ。
さてそんなこんなで心がざわついてたら、すぐに更にざわつくことに。
彼の口から語られる、逃げ出してきた異常なクラン。監視役のティーチャーも、下働きの大人もいない…唯一いたのは“お館様”と呼ばれる者ただ一人。
あっ…(察し)
元々いたクランから攫われてきたヤン。一緒に攫われてきた少女がいたという。
その少女の名は「シルベチカ」
あっ…(察し)
シルベチカなんて…知ってるんだよなぁ…。
そして彼を保護したのは原初信仰者たち。口封じに殺されかけるが結局イニシアチブをとったヤンがその連中を皆殺しにして発狂しながら逃走。
そして舞台は作中での現代へ…まぁーこっからもシリーズファンを殺しにくる。
主人公の一人アナベルは小説家。吸血種・繭期の少年少女の失踪事件を元にした作品で大人気。そのペンネームは…“ダリ・デリコ”
んもぉーそういうことする~。めっちゃ貴族のダリちゃん。
そして役柄もキャラクターもまったく違うのは頭で理解しつつそのめっちゃ貴族でめっちゃすごくてめっちゃえらいダリちゃんが主役のグランギニョルにも出演されてたポジティブダンピール東さんの口から“ダリ・デリコ”とか「忌まわしきダンピール」とか言わすのどうなんですか末満さん!!!!!!
とここまでから解るとおりやたらめったら関連性をだしてくるのがこのシリーズの特徴。関係性フェチとでもいうべき自分にはたまらない作品群なのです。
TRUMPから作品が新規のものになるにつれてギャグ要素がほぼほぼなくなってますね。
今回もあるにはあったけど、それをやってたのが「ソフィ」と「ウル」でシリーズを知っている者として、そしてきっとソフィは、このウルと名乗る青年は…と思うと笑えなかった…。
以下、個人的にやばかったポイント。
ソフィの、懐かしむような口調での「ダリちゃん」
明るい曲調の歌で花言葉を歌うヘンルーダさん「リリィ」「スノウドロップ」「紫蘭」「竜胆」…。
「そう、ウルは僕の親友“だった”」
「永遠なんて、クソ食らえだ」
ウルが歌うTRUMPで披露された歌
劇中で何度も流れるリリウムでの楽曲
などなど枚挙に暇がないので…もう全編やばい要素しかないですね。
どうしてもシリーズ追ってるので作品単体で見れない節がありますね。というかそれこそ末満さんの思う壺なんでしょうけど…。
アナベルとガーベラの歪な共依存。歪んだ愛をアナベルに向けるコリウスとエリカ。
何もすることができない、何をすることも許されないヘンドール。
そして永遠の孤独を生きる中“まがい物(False)”のTRUMPとして精神が磨耗し、狂ってしまったソフィ。(今回手を伸ばしたのはお前だったかよ…)
アナベルがガーベラ、ヘンドール、エリカにそれぞれ向ける愛情、そしてガーベラ、ヘンドール、エリカがアナベルに向ける愛情は歪んでいても間違いなく本物だった。
けれど登場人物全員不器用で、それぞれの愛情を押し付けてしまった。
そこに「永遠の命」という甘い蜜を見つけてしまったアナベル。
…TRUMPシリーズは「永遠の命」に翻弄される人々の複雑に入り混じった感情を描いた作品だと思っていて、そして明言こそはしてないものの「永遠の命」そして「永遠であること」そのものに否定的な作品だと思っている。
様々な理由で人々は永遠を求め、そして狂い、血に染まっていく。
それは今回も同じだった。
街で惨劇が起こったときのソフィの笑顔は本当にゾッとした。
上記で狂ってしまったと書いたけど、ソフィは狂ったのではなくて人間でも吸血種でもダンピールでもない何かに“成ってしまった”んだろうなと。
正直、今作はシリーズ追ってる人から見ればある程度話の展開は予測できたのではないだろうか。シリーズのベタをしっかり踏襲していた気がする。きっとこの人はこうで、あの人はああだなと。
でも予測できたとしても降ってくる想像以上の絶望の数々にはただただ打ちひしがれるしかなかった。それがTRUMPシリーズのすごいところなんだなぁ…。
作中最後まで親子の愛はあった。イニシアチブに意識を持って抵抗するほどに。
だからこそガーベラは最後、母親が死んだときに希望を捨てた。希望は母親と共にあってこそだったから。そして代わりに絶望という呪いを背負って生きることを決めた。
そのあとの彼女の運命は、シリーズファンは知ってのとおり。
グランギニョルで未来予知の能力があるオズがキキを予知したときの「マリーゴールドの花に囲まれてる君が見える。」
って希望を感じたシーンだったけどまったく持ってそんなことはなかったですね!つれぇわ。よく考えなくてもリリウム考えたらそんなことないシーンなんだよな…つれぇわ。
トランプ、ソフィ、ガーベラ、そしてきっとリリィ
共通してるのは大切な人への想いを持ち続けて忘れることができず苦しんだこと。
「僕は君で、君は僕だ。」「あなたも私と同じね。かわいそうな人。」
ガーベラはともかく他三人は自らの死を望んでも死ねず、
永遠の時の中孤独に苛まされる。
そしてその孤独の中、自分が愛した者は永遠を望まない者だった。
トランプがソフィを、ソフィがリリィを。
愛した者に永遠を与え、愛した者に憎まれる連鎖。
そしてきっとリリィも誰かを…。
一片の希望もない絶望の連鎖。つれぇわ。って言葉しかでませんね。
まったくまとまってない上に冗長な感想ですが、もう眠いし自分の中でも感情がぐっちゃぐちゃで纏まってないので推敲しません…。
うんまぁ、一言で纏めるとすると、悪い。やっぱつれぇわ。